求職者を雇用する際に役立つ、特定求職者雇用開発助成金についてご紹介します。この助成金の概要から具体的な申請手順まで、詳しく解説していきますので、是非参考にしてみてください。就職が困難な方を雇用する際の支援策として、ぜひお役立てください。
特定求職者雇用開発助成金とは
特定求職者雇用開発助成金は、就職が困難な人々の雇用を促進するための支援制度です。この制度では、条件を満たす求職者を雇用する事業主に対して助成金が支給されます。
助成金は厚生労働省から提供され、以下の目的を持っています。
– 就職困難者の雇用促進や雇用機会の拡大
– 障害者や労働者の能力開発の支援
特定求職者雇用開発助成金には、以下の4つのコースがあります。
1. 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
2. 特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)
3. 特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)
4. 特定求職者雇用開発助成金(発達障がい者・難治性疾患患者雇用開発コース)
これらのコースは、異なる対象者を対象とし、支給額や支給期間も異なります。特定求職者雇用開発助成金を利用することで、雇用機会を広げ、雇用者の能力開発をサポートすることができます。また、助成金の利用は人材確保の機会を提供し、企業の価値向上にも貢献します。
特定求職者雇用開発助成金の申請には一定の要件がありますので、最新の要件を確認し、適切な申請手続きを行うようにしましょう。
助成金の対象となる労働者
助成金の対象となる労働者は以下の条件を満たす必要があります。
高年齢者(60歳以上65歳未満)
- 60歳以上65歳未満の方が対象です。
母子家庭の母・父子家庭の父
- 65歳未満の方が対象です。
重度身体障害者、重度知的障害者
- 年齢制限はありません。
精神障害者
- 年齢制限はありません。
身体障害者・知的障害者
- 45歳以上65歳未満の方か、一定の状況で65歳未満の方が対象です。
駐留軍撤退関連の離職者
- 45歳以上65歳未満の方が対象です。
漁業関連の離職者
- 年齢制限はありません。
本州四国連絡橋建設関連の離職者
- 年齢制限はありません。
港湾運送事業関連の離職者
- 年齢制限はありません。
アイヌ民族の人
- 北海道に居住する45歳以上65歳未満の方が対象です。
中国残留邦人等永住帰国者
- 帰国から10年を経過していない65歳未満の方が対象です。
北朝朝鮮帰国被害者等
- 帰国意思決定から10年を経過していない65歳未満の方が対象です。
その他(就職が難しいと認められた人)
- 65歳未満の方が対象です。
特定求職者雇用開発助成金は、就職が困難な労働者を支援するための制度です。上記の条件をよく確認し、助成金の対象となるかどうかをご確認ください。
3. 支給額と支給期間
特定求職者雇用開発助成金の支給額と支給期間にはいくつかのケースがあります。以下にそれぞれのケースをご紹介します。
短時間労働者(週20時間以上30時間未満)
- 身体障害者、知的障害者、精神障害者の場合、中小企業への助成額は80万円で、支給期間は2年です。
- 短時間労働者以外の場合、中小企業への助成額は30万円で、支給期間は1年です。
短時間以外の労働者(最低週30時間)
- 重度障害者の場合、中小企業への助成額は240万円で、支給期間は3年です。
- 身体障害者、知的障害者の場合、中小企業への助成額は120万円で、支給期間は2年です。
- 短時間労働者以外の場合、中小企業への助成額は60万円で、支給期間は1.5年です。
特記事項
以下は特定求職者雇用開発助成金の支給額と支給期間に関する特記事項です。
- 支給期間は半年ごとに1期、2期、3期の最大6期に分割されます。
- 助成金の支給額が賃金の総額を上回る場合は、賃金の総額が支給額となります。
- 支給期間の途中で労働者が退職してしまうと、全額支給されないことにご注意ください。
上記が特定求職者雇用開発助成金の支給額と支給期間の主なケースです。会社の規模や労働者の条件に応じて、適切な支給額と支給期間を確認しましょう。
申請の流れと必要書類
特定求職者雇用開発助成金を申請するには、以下の手順を踏む必要があります。また、申請にはある一定の書類が必要です。
申請の流れ
- ハローワークなどから労働者の紹介を受けます。
- 労働者を雇用し、雇用保険に加入手続きを行います。その後、特定求職者雇用開発コースに関する通知と申請書が郵送されます。
- 1期の申請書を提出します(提出期限:雇用日から6ヶ月後の翌日から2ヶ月以内)。
- 提出した申請書が審査されます。
- 審査結果に基づき、助成金の支給可否が決定され、通知書が郵送されます。
- 助成金が支給されます。
※2期目以降の申請では、「1. ハローワークなどからの紹介」の手続きは不要ですが、申請の流れは同じです。
※通知と申請書は、期ごとに郵送されます。
※1期の申請ができなかった場合でも、2期目以降の申請は可能です。ただし、支給要件を満たす事業者かどうかの確認のために、1期の申請書も提出する必要があります。
必要書類
特定求職者雇用開発助成金の申請には、以下の7種類の書類が必要です。これらの書類は5年間保管する必要があるため、注意が必要です。
-
賃金が記載された書類
– 賃金台帳など(手当の内訳も含む) -
出勤内容が記載された書類
– 出勤簿など -
特定求職者コースに該当することを証明する書類
– 障害者手帳など(障害者の場合)
– 障害者手帳に該当しない場合は、医師の診断書や意見書が必要
– 母子家庭の場合は、住民票など -
週単位の労働時間と雇用契約期間が記載された書類
– 雇用契約書など -
特定求職者雇用状況申立書(特定求職者コース)(様式第5号)
– 指定の様式に従って作成する書類 -
支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
– 指定の様式に従って作成する書類 -
職業紹介証明書(民間事業者による紹介の場合)
– 民間事業者が発行する書式である必要があります。
さらに、場合によっては就業規則や総勘定元帳などの別の書類を提出する必要があります。
特定求職者雇用開発助成金や他の助成金を利用する際には、申請書類を整理し、いつでも提出できる状態にしておくことが重要です。
注意点
特定求職者雇用開発助成金を申請する際には以下の点に留意しましょう。
申請期間を厳守する
- 助成金の申請期間は「各支給対象期の末日の翌日から2カ月以内」です。
- 申請期限を守らないと受理されませんので、注意しましょう。
支給期ごとに申請が必要
- 特定求職者雇用開発助成金の申請は支給期ごとに行います。
- 支給期間は6カ月間であり、1回の支給ごとに申請が必要です。
- スケジュールを忘れずに申請しましょう。
- 1回目の支給申請を忘れてしまった場合でも、2回目以降の支給申請は可能です。
トライアル雇用助成金と併用する場合は第2期から受給
- 特定求職者雇用開発助成金とトライアル雇用助成金を併用する場合、特定求職者雇用開発助成金の受給は「第2期支給対象期分」からとなります。
- トライアル雇用終了後も雇用を継続する予定がある場合、注意が必要です。
不支給要件を確認する
- 特定求職者雇用開発助成金を受給する際には、不支給要件を確認する必要があります。
- 過去に労働関係助成金の不正受給や労働関係法令の違反、性風俗関連営業や暴力団との関わりがある場合、助成金は支給されません。
- 具体的な不支給要件は、厚生労働省の公式サイトを参照してください。
不正受給に注意する
- 申請内容を漏れなく確認し、不正受給にならないよう注意しましょう。
- 虚偽申請や不正行為は刑事罰を受ける可能性がありますので、申請前に充分な調査を行い、正確な情報で申請を行いましょう。
以上が特定求職者雇用開発助成金を申請する際の注意点です。これらの事項を遵守しながら助成金の申請手続きを進めてください。特定求職者雇用開発助成金は雇用の確保や労働力不足解消に役立つ制度ですので、ぜひ活用してみてください。
まとめ
特定求職者雇用開発助成金は、就職が困難な人々の雇用を支援する制度です。様々なコースがあり、雇用主に対して一定の金額と期間にわたって助成金が支給されます。申請には一定の要件と必要書類がありますが、従業員の確保や能力開発に有効な制度といえます。支給要件や不正受給にも注意しつつ、この助成金を積極的に活用することで、企業の人材確保と社会的課題の解決につなげていくことができるでしょう。
よくある質問
特定求職者雇用開発助成金はどのような制度ですか?
この助成金は、就職困難な労働者の雇用を促進するための支援制度です。条件を満たした求職者を雇用する事業主に対して、助成金が支給されます。助成金の目的は、就職困難者の雇用機会の拡大や、障害者・労働者の能力開発の支援です。
助成金の対象となる労働者には、どのような人がいますか?
助成金の対象となる労働者には、高年齢者、母子家庭の母・父子家庭の父、障害者、離職者、アイヌ民族の人、中国残留邦人等永住帰国者、北朝鮮帰国被害者等など、就職が困難な人々が含まれます。年齢や状況に応じて、対象者が異なります。
助成金の支給額と支給期間はどのように決まりますか?
助成金の支給額と支給期間は、労働者の雇用形態や障害の程度などによって異なります。一般的に、重度の障害者を雇用する場合や短時間労働者の場合、より手厚い支援が行われます。支給期間は最大3年間までで、半年ごとの支給が行われます。
助成金の申請にはどのような流れや書類が必要ですか?
助成金の申請には、ハローワークからの紹介、雇用保険の加入手続き、期ごとの申請書の提出などの流れがあります。また、賃金台帳、出勤簿、障害者手帳など、さまざまな書類の提出が必要となります。申請期限を守り、必要書類を事前に準備することが重要です。
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